影響力の作り方:ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」から学ぶ
影響力の作り方 【ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」】
この「影響力の武器」では、7つの法則が記載が記載されています。本ページではその中でも
・第Ⅰの法則 : 返報性
・第Ⅱの法則 : 一貫性とコミットメント
を具体的にみていきましょう!
第Ⅰの法則 : 返報性 ーギブ・アンド・テイクだが・・
何かをもらったら、何かを返したくなるという心理の事を「返報性のルール」と呼ばれる。
ビジネスにおいても日常生活においても、この原理は頻繁に見られます。例えば、スーパーの試食販売はこの返報性を利用しています。無料で提供された食べ物を味わった後、多くの人は何かを買うことで恩返しをしたくなります。
- 人間文化の中で最も広範囲に存在し、最も基本的な要素になっている規範の一つのルール
- 他社からの要求に対して応ずるか否かの決定は、頻繁に返報性のルールから影響を受けてしまう。
- 返報性のルールの応用として承諾を引き出す手法も存在する。最初に親切を施してその見返りを期待する代わりに、最初に譲歩して、その見返りとして相手の「譲歩」を引き出すというもの。
- 返報性のルールに対する最善の方法は、最初の相手の申し出を杓子定規に断ることではない。
「最初の申請や譲歩は誠意を込めて受け入れた後に、あとで意図した計略であると判明した時点で、それを計略であると再定義することである」
そうすれば、返報性のルールに従うことなく親切や譲歩に対するお返しを考え直すことが可能になる。
第Ⅱの法則 : 一貫性とコミットメント ー心に住む小鬼
ほとんどの人は一度が取った行動や信念、意見に対して「一貫性」のあるものにしたい、もしくは他者からそのようにみられたいという心理が働くことが知られている。そのような欲求は以下の3つの要素から成り立っている。
- 一貫性を保つことによって社会から高い評価を受ける
- 一貫性のある行為は、一般的に日常生活において有益である。
- 一貫性を志向することにより、複雑な現在社会をうまく対処するのに役立つ、思考の近道が得られる。
上記の3つの要素を成り立たせる要因としては、
以前の決定と一貫性を持たせることで、将来的な類似事象・状況に直面した時に関連するすべての状況を処理する必要が少なくなり、以前の決定を思い出してそれに一貫するように反応しさえすればいいからです。
承諾を引き出すうえで鍵となるのは、「最初のコミットメントを確保すること」である。このことはつまり、コミットメント(自分の意見を言ったり、立場を明確にすること)をしてしまうと、そのコミットメントに合致した行動要求を受け入れやすくなるというものです。コミットメントを伴う決断は、その決断が間違っているときでさえ、その決断に固執してしまうという傾向がある。その為に新しい理由の付け加えや正当化を行うような心理が見られてしまうとされています。
上記のようなコミットメントの心理により抵抗する方法としては、
「(コミットメントを利用して丸め込まれそうになった時) 要求をする相手に対して、一貫性に対してこだわりはないと説明することにある」
またよくある悩みとして最初のコミットメントが間違っているかどうか明確でないときに、
「今知っていることをそのままにして時間をさかのぼることができたら、同じコミットメントをするかどうか?」
と自分自身の問いかけることである。その時に役に立つ答えをもたらしてくれるのは、最初に湧き上がる感情というものであると説明されています。
その他の影響力の法則について
上記以外にも、残りの下記の法則が紹介されているのでまたご紹介します。
- 第Ⅲの法則 : 社会的証明
他人がやっていることを自分もやりたくなる心理。 - 第Ⅳの法則 : 好意 ー優しそうな顔をした泥棒たち
自分が好きな「人」や「もの」からの影響を受けやすい。 - 第Ⅴの法則 : 権威 ー導かれる服従
人は権威ある人物や情報から影響を受けやすいです。医師や専門家の意見、有名人の推薦などがその例です。このトリガーは、人々が専門知識や地位を尊重し、それに従う傾向があるために生じます。 - 第Ⅵの法則 : 希少性 ーわずかなものについての法則について
手に入りにくいものは価値があると感じる心理。
文明が進化するということは、自分の頭で考えなくても様々なことができてしまうということである
ー アルフレッド・ノース・ホワイトレッド (数学者・哲学者)
まとめ
これらの心理トリガーを理解し、実践することで、より影響力のあるコミュニケーターになることができます。しかし、これらの知識を悪用せず、倫理的に利用することが重要です。影響力は強力なツールですが、それを用いる際は常に他人の福祉を考慮に入れるべきです。
「影響力の武器」を読むことで、あなたは自分自身がどのように影響を受けやすいかを理解し、詐欺師やマーケティングのテクニックに惑わされることなく、賢い消費者やコミュニケーターになることができます。